1. はじめに
子育てをしているパパ・ママにとって、将来かかるお金の不安はつきものです。特に「子どもが大学を卒業するまでにどのくらいの費用が必要なのか?」といった漠然とした疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。実際に、子育てには生活費や教育費など、さまざまな場面で費用が発生しますが、それを計画的に準備することができれば、将来の不安も和らぎます。
本記事では、子どもの養育費や教育費が具体的にどのくらいかかるのかを、各ライフステージに分けてわかりやすく解説していきます。また、将来の子どものために、どのようにお金を準備すればいいのか、さらには効率的に資産を増やすための「新NISA」などの投資方法についてもご紹介します。
次に、子育てにかかるお金の内訳を詳しく見ていきましょう。
2. 子育てにかかる費用の内訳
子育てには、大きく分けて「養育費」と「教育費」の2つの費用がかかります。それぞれの費用は子どもの成長に伴って増えていき、特に教育費は大きな負担となることがあります。ここでは、具体的にどのような費用がかかるのか、養育費と教育費に分けて詳しく解説していきます。
養育費
養育費とは、日常生活で子どもを育てるために必要な費用のことです。食費や衣料費、医療費、日用品などの支出がこれに含まれます。特に、食費は成長するにつれて増加し、医療費や衣料費も年齢とともに変動します。加えて、子どもの成長段階に応じてベビーカーや学習机など、一度限りの大きな支出もあります。
教育費
教育費は、子どもが保育園や幼稚園に通い始める頃から発生する費用です。保育料や習い事の費用、学費、教材費などが含まれます。さらに、進学に伴って学費や塾代、部活動の費用も加わり、大学に進学する場合にはさらに多額の費用がかかります。
これらの費用は、公立と私立、さらに地域によっても差がありますが、子どもをしっかりと育てるために欠かせないものです。
次に、養育費に焦点を当てて、どのくらいの生活費がかかるのかを具体的に見ていきましょう。
3. 養育費:生まれてから大学までの生活費
子どもが生まれてから大学を卒業するまでに、日常的に必要となる生活費、つまり「養育費」は相当な額にのぼります。ここでは、食費や衣料費、医療費などの具体的な費用を年齢ごとに見ていきましょう。
乳幼児期(0歳〜6歳)
この時期は、ミルクやおむつ、ベビーカー、チャイルドシートなどの初期費用がかかります。特に、育児用品の初期投資が大きく、また、乳幼児向けの食品や医療費もかさみます。厚生労働省の調査によれば、0歳から6歳までにかかる生活費は、年間約50万円〜60万円が平均的です。
小学校時代(6歳〜12歳)
小学校に入ると、学校給食が始まるため、家での食費は少し軽減されますが、代わりに文具や学用品、学校行事の費用などが発生します。また、衣服も成長に伴い頻繁に買い替えが必要です。さらに、この頃から本格的に習い事やスポーツにかかる費用も増加します。小学生時代の生活費は年間約60万円〜70万円とされています。
中学・高校時代(12歳〜18歳)
中学生以降は、食費が大幅に増加する傾向があります。特に成長期の男子は食事量が増えるため、家庭の食費への負担が大きくなります。また、制服代や通学費、部活動にかかる費用なども新たに発生します。さらに、医療費も成長期に伴って変動することが多いです。この時期の生活費は年間約80万円〜90万円が目安です。
大学時代(18歳〜22歳)
大学に進学すると、さらに負担が大きくなります。特に、家から遠く離れた大学に進学した場合、生活費に加え、住居費や仕送りが必要になることもあります。下宿をした場合、生活費は年間約100万円以上に達することもあります。
以上の内容をまとめると、子どもが生まれてから大学を卒業するまでにかかる養育費は、総額で約1,000万円〜1,200万円程度になります。
次に、教育費について詳しく見ていきましょう。
4. 教育費:保育園から大学までの費用
子どもが成長するにつれてかかる「教育費」は、特に大きな負担となる費用です。ここでは、保育園から大学までの各段階における教育費を、公立と私立の違いを含めて詳しく解説します。
保育園・幼稚園
保育園や幼稚園にかかる費用は、家庭の収入や自治体の補助金によって異なります。公立の保育園の場合、月額の保育料は約2万円〜5万円が相場ですが、私立や認可外保育施設に通わせると、それ以上の費用がかかることがあります。年間にすると、保育料は約24万円〜60万円程度です。
一方で、幼稚園の費用も公立と私立で大きな差があります。公立の幼稚園の場合、年間約20万円〜30万円ですが、私立では年間約50万円〜80万円かかることが一般的です。
小学校
小学校は義務教育のため、公立学校に通う場合は授業料が無料です。しかし、給食費や教材費、学校行事やクラブ活動にかかる費用が必要です。文部科学省の調査によると、公立小学校の年間教育費は約30万円〜40万円ですが、私立に通わせる場合は年間約100万円〜150万円がかかることがあります。
中学校
中学校も義務教育に含まれるため、公立の場合は授業料は無料です。ただし、部活動費や塾代などの費用が増加します。公立中学校にかかる年間の教育費は約40万円〜50万円ですが、私立中学校では年間約130万円〜160万円がかかります。私立の中学校では、授業料に加えて施設費や教材費が大きな割合を占めています。
高校
高校になると、公立でも授業料が発生します。授業料は高校無償化政策により補助が出る場合がありますが、それでも授業料以外の費用(部活動、修学旅行、教材費など)がかかります。公立高校の場合、年間の教育費は約50万円〜60万円ですが、私立高校の場合は年間約100万円〜150万円が必要です。また、この頃になると、大学受験に向けた予備校や塾の費用が大きくなり、年間数十万円の追加費用がかかる家庭も多いです。
大学
大学は教育費の中でも最大の負担となります。文部科学省のデータによると、公立大学の場合、授業料は年間約50万円〜60万円ですが、私立大学になると年間約100万円〜150万円が相場です。理系学部や医療系の学部に進むと、さらに高額になります。加えて、通学費や教材費、住居費、仕送りなどの費用が必要な場合もあります。私立大学に進学した場合、4年間で総額約500万円〜800万円が必要です。
以上をまとめると、教育費は保育園から大学までのトータルで公立の場合は約500万円〜700万円、私立の場合は約1,500万円〜2,000万円程度がかかることになります。次に、養育費と教育費を合わせた総額について確認していきましょう。
5. 大学卒業までにかかる総額
これまで解説してきた「養育費」と「教育費」を合計すると、子どもが大学を卒業するまでにかかる費用の全体像が見えてきます。ここでは、公立と私立のケースで、トータルの費用がどれほど違うのかを詳しく見ていきます。
公立の場合
- 養育費:約1,000万円〜1,200万円
- 教育費:約500万円〜700万円
公立の学校に通わせた場合、大学卒業までにかかる総費用は約1,500万円〜1,900万円となります。公立の学校に通うことで、教育費は比較的抑えられますが、それでも総額としては大きな金額になります。
私立の場合
- 養育費:約1,000万円〜1,200万円
- 教育費:約1,500万円〜2,000万円
一方で、私立に通わせた場合、総費用は約2,500万円〜3,200万円と、公立と比較して大幅に高額になります。特に中学・高校、そして大学の私立校に進学した場合、教育費が大きく跳ね上がることが特徴です。
公立と私立の費用差
公立と私立では、大学卒業までの費用に約1,000万円〜1,300万円の差があることがわかります。これは、家庭の教育方針や子どもの進路に大きく影響される部分ですが、早い段階から教育費を見据えた準備が必要です。
これらの費用をどうやって用意するのかについて、次の章では貯蓄や投資の方法を具体的にご紹介します。
6. 子育て費用をどうやって用意する?
子どもの養育費や教育費は、長い期間にわたってかかるため、計画的に準備を進めることが非常に重要です。ここでは、積立貯金や学資保険など、費用を準備するための具体的な方法について解説します。子どもが生まれる前から大学卒業までの各ステージに応じた貯蓄計画を立てておくと安心です。
1. 積立貯金
子育て費用を最もシンプルに準備する方法は、積立貯金です。毎月一定額を子どものために積み立てておくことで、まとまった資金を徐々に準備できます。例えば、月2万円を18年間積み立てた場合、元本だけで約432万円が貯まります。この金額に加え、少しでも利息がつけば、さらに積み増しが期待できます。
積立貯金は、リスクが低い反面、大きなリターンが期待できないという特徴があります。そのため、教育費の一部を確実に確保するためには適した方法ですが、それだけでは十分ではない場合もあります。
2. 学資保険
学資保険は、教育費のための資金を積み立てつつ、万が一の保障も得られる商品です。保険期間中に親に万が一のことがあった場合でも、保険料の支払いが免除され、満期時にまとまった金額が受け取れるため、子どもの将来をしっかりと守ることができます。
しかし、学資保険の利回りはそれほど高くない場合が多いため、保障を重視するか、資産運用を重視するかで検討が必要です。
3. 児童手当を活用する
日本では、0歳から中学卒業までの子どもを持つ家庭に対して児童手当が支給されます。この手当は月額1万円〜1万5千円程度で、子どもが多いほど支給額が増えます。児童手当は貯蓄や投資に回すことで、子どものための資金として活用できます。
例えば、子どもが生まれてから中学を卒業するまでの15年間、毎月1万5千円の児童手当を全額貯蓄した場合、総額で約270万円が貯まります。これに利息や運用益が加われば、さらに大きな金額を確保することができます。
以上の方法で貯蓄を進めることが可能ですが、資産をより効率的に増やすためには、投資を活用することが有効です。次の章では、新NISAを使った投資の方法について詳しく解説します。
7. 新NISAなどの投資を活用する
子育て費用を貯蓄だけで賄うのは大変ですが、賢く投資を活用すれば、資産を増やすことが可能です。特に、2024年にスタートした新NISAは、長期の資産形成に非常に適しており、子どもの教育費や将来のための資金準備に活用できます。ここでは、新NISAの仕組みと、その効果的な利用方法について解説します。
1. 新NISAとは?
新NISAは、これまでの積立NISAやジュニアNISAに代わる新しい制度で、投資で得た利益に対する税金が非課税となる仕組みです。非課税枠が大幅に拡大され、1年間で最大360万円を投資でき、非課税期間も無期限化されました。これにより、より柔軟で大きな資産形成が可能になります。
新NISAには以下の2つの枠があります:
- 成長投資枠:年間240万円までの投資に対して非課税
- つみたて投資枠:年間120万円までの投資に対して非課税
この2つの枠を併用することで、長期的な資産形成をしながら、将来の大きな支出に備えることができます。
2. 新NISAのメリット
新NISAの最大のメリットは、投資で得た利益が非課税になる点です。通常、投資で利益を得た場合、約20%の税金がかかりますが、新NISAを利用すれば、この税金を支払うことなく、利益をそのまま再投資に回すことができます。
また、つみたて投資枠を利用すれば、少額からコツコツと投資を始められるため、毎月の生活費に大きな負担をかけずに資産を増やしていけます。
3. 長期投資の効果
長期的に資産運用を行うことで、複利の効果を活用できます。例えば、毎月3万円をつみたて投資枠で20年間運用し、年利5%で運用できた場合、元本720万円に対し、最終的に約1,200万円以上の資産を形成することができます。投資を早く始めれば始めるほど、複利効果によって大きな資産を作ることが可能です。
4. リスクとその対策
投資にはリスクが伴いますが、長期的に少額ずつ分散して投資することで、そのリスクを抑えることができます。また、新NISAで取り扱われている金融商品は、基本的に長期の資産形成向けの安定した投資信託が中心で、初心者でも比較的安心して運用を始められます。
このように、新NISAを活用することで、子どもの教育費や将来に必要なお金を効率よく準備できます。
8. まとめ
子育てには多くの費用がかかりますが、計画的に準備すれば将来の不安を軽減できます。養育費としては、食費や医療費などの生活費が子どもの成長とともに増加し、教育費は特に保育園から大学にかけて大きな負担となります。公立か私立か、進路によって総額には大きな差がありますが、大学卒業までに公立で約1,500万円〜1,900万円、私立では約2,500万円〜3,200万円が必要とされています。
このような費用を準備するためには、積立貯金や学資保険の活用が基本となりますが、より効率的に資産を増やすためには、新NISAなどの投資を積極的に活用することがポイントです。新NISAでは、投資で得た利益が非課税になるため、長期的に見て大きなリターンを得ることが期待できます。毎月少額ずつの投資であっても、複利効果を活かせば、大学進学までにしっかりとした資産を形成できるでしょう。
最後に、子どもが安心して学べる環境を整えるためには、計画的な貯蓄や資産運用が重要です。貯金だけではなく、投資を組み合わせることで、より柔軟に将来の教育費を準備していきましょう。早いうちから新NISAなどを活用し、将来に向けたしっかりとした資金計画を立てることが、子どもの未来への最良のサポートとなります。